2005年8月12日

われわれは犬である

テリー・ベインの著作「われわれは犬である」は、犬の視点から日常生活を描写する、という趣向の小品。

筆者は動物の専門家ではないので、本書で発揮されているのは犬の行動心理に関する正確な洞察ではなく、愛情とユーモア(と犬と暮らす者なら誰でも持つ感慨)に満ちた想像力である。
うなずける箇所も多い、というか(文章にはまとめられなくても)普段感じていることばかりなので、正直新鮮な感動は何もなかった。

それでも、ところどころイイことが書いてありました。

寛容とは何か、誰からも教わっていない。もとより、その必要はない。犬は寛容の生きた見本である。
家族が何日も、何週間も、あるいは何ヶ月も留守にしても、犬は愛情を忘れない。
雨の日、霙の日、かんかん照りの夏の日に、外に出しっぱなしにされても恨まない。
ソファに乗るな、清浄器の水を飲むな、スーパーマン人形を噛むな、と厳しく叱られて、何が悪かったのかわからなくても、ふてくされたりしない。
家族のさしのべる手に、犬は親愛をもってこたえる。
怒りにも愛情でこたえる。
愛には愛。
すべてこれ愛。
犬は寛容のかたまりだ。

そして、このO・ヘンリー賞受賞作家はやはりこうも書いている。
何ものかを探しもとめる心で犬の目を覗くなら、人はそこに神の顔を見る。

もっとも、結局のところは以下の結論に落ち着くのである。じつにその通り。
人間は、とにかく物事を不必要にややこしく考えがちだから、ここできれいさっぱり、単純明快に話をしめくくることにしたい。人は人、犬は犬、何ごともすべて、お互いの親愛に任せておけばいい。

「われわれは犬である」
テリー・ベイン 著/池 央耿 訳
アスペクト 発行

投稿者 かえる : 21:40 |

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.blacklab-morphee.com/blog/tt_tb.cgi/498

mbt shoes houston galleria

mbt shoes original sale かえるリポート われわれは犬である

mbt shoes houston galleria : 2014年12月8日 09:34

コメント

犬には、教えられること沢山あります。
彼らは平和主義。争いは、とことん避ける。
自分が不治の病であっても嘆かず、いつもと
同じ日常を同じ様に繰り返すだけ。どんな
飼主にも、愛情を持って応えてくれる。
まさに、人生のお手本です。

投稿者 Hiromi : 2005年8月13日 11:45

Hiromiさん
最近読み直していたく感銘を受けた伊丹十三の名エッセイ「女たちよ」の最後に「配偶者を求めております」で始まる理想の女性像をユーモア混じりに描写した一文がありました。
この中に、
「1.頭がいいけどばかなところがあり
1.ばかではあるが愚かではなく
1.まだ自分が美人であることに気づいてなく
1.伊丹十三が世界で一番えらいと思っている
云々」
という一節があるのですが、「ばかではあるが愚かではなく」なんて犬のことのようだという気がしませんか。
いや、別に女性と犬を比べるわけじゃありませんが。
いろいろ教わることはありますよね。

投稿者 かえる : 2005年8月14日 22:07

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ